2011年6月10日金曜日

タンハイ市 小学校理科教育研修会 最終報告


タンハイ市研修会 最終報告 (報告書より)


◎ 成果と課題

A.授業を組み立てる基盤としてのBAGONG RULE

今回、3年生以上の理科を担当している教師が全員集まる=タンハイ市内の約2/3の小学校の先生、計187名が自作教材とBAGONG RULEの考え方に触れたことになる。BAGONG RULEについては、今後、学校巡回をし、授業観察とデモレッスンをする上で、一つの指標となりうるものである。「BAGONG RULEはもう知っているわ。」という教師もいれば、「基本的な教育技術の大切さを知ったわ。」という教師もいた。どちらの意見にしても、非常に大切な意見だ。「知る」と「使う」は異なる。BAGONG RULEの考え方と、各自のこれまでの指導法にどんな共通点があり、どんな差異点があるのかは一人ひとりの教師で異なるだろう。学校巡回で先生方との対話の中で、本当に「使い続けられるもの」に深化させたい。BAGONG RULEは教育改善の魔法の杖ではない。BAGONG RULEを授業を作る上での1つの基盤として、学校巡回の中で、先生方の授業での日々の改善をうながしていきたいと思う。


B.自作教材の可能性と注意点
  
 教材作成に、先生方はとても意欲的に取り組んでいた。授業で使いたいという声も多かった。一方で、いくら自作教材を伝え続けても、自分で作り出そうという意識はなかなか生まれにくいとも感じる。またこれをいかに授業で生かしていくのかが大きな課題である。


C. DepEDJICAボランティアを見る目

 学校巡回先の学校とは異なり、未だにDepED内では、教育長を始めスーパーバイザー教育改善戦略の中になかなか入れないという実態がある。しかし、これまでの活動と今回の研修会を終えて、徐々に具体的な要求が増えてきたように思う。たとえば、教育長から「小学校だけでなく、中学校の実験器具について研修会を持ってほしい」と言っていただいたり、カウンターパートが共に各学年での課題を明確にし、指導に当たっていこうと計画を始めたりと具体的な協力の話が出てきた。とてもありがたく感じ、精一杯取り組んでいきたいと思う。
 ただし、自分の様々な行動は周りの目を通して広がっていく。仕事はもちろん、日常生活でも信用失墜にならないように気をつけていかなければならない。


D. 研修会を企画する時の見通し

 事後検討会では上記にも挙げた今研修会の準備不足が話題に挙がった。他隊員から大変参考になる意見をたくさんもらったので、今後の任地での活動で生かせるようにしていきたい。なお、資料がほしいという意見が多かったが、後で確認して見たところ、この意味は、後で学び直すことができるように全ての項目についてもっと細かい説明がほしいということだった。




◎ 今後の活動にかかわって

 新年度が始まり、学校巡回が再スタートした。まずはカウンターパートと共に学年初めのモニタリングである。その中で、以前授業観察をした先生の授業を再び見る機会があった。突然の訪問だったのにも関わらず、教室に入った瞬間に「あれ?何か違う。」と感じた。Grade6の血液循環の授業。まず、子どもの発言に対して、よくほめていた。さらに、次の授業はこの前学んだ簡単な図を使って、子ども達がノートに描くようにしてみるわ、と話してくれた。BAGONGを意識して取り組んでいる様子にとてもうれしく感じた。ただし、無理をしている感じも否めない。たとえば、褒めるのも、ただ機械的に全て褒めていたのでは、意味が半減してしまうどころか、「本気で褒めてくれているの?」と逆効果にもなりかねない。先に挙げたように、今後の学校巡回で先生方との対話の中で、本当に「使い続けられるもの」に深化させていきたい。

BAGONG RULEを示したことにより、私が今後授業を行う時の、また授業を観察する時の共通の視点ができた。また、先生方にとっても当然のことながら、この一日で考え方が浸透することはありえない。今後の展開として①効果的な自作教材とBAGONGルールを2つの軸として、巡回指導での授業観察、デモレッスンを行い、先生方が教育改善をし続けようとする思いを培うこと。②NAT/RATの結果をふまえ、各学校の現状にできる限り即した提案をしていくこと。③学校巡回の中で得た、指導に難のある教材の学習会を土曜日に各学年で行うこと。を、カウンターパートとの間で合意している。

 なお③の土曜日の学習会については、今回のアンケートで2nd grading periodにおける指導上難しいと感じられるトピックを書き出してもらった。Grade3ではそれぞれの植物の特徴、Grade4では植物の繁殖の方法、Grade5では動物や植物の分類の方法、電気回路、そしてGrade6ではエネルギー変換、化学変化と状態変化が特に多かった。その結果を元に、今後7月からの開催に向けて詳細を検討していく。

 また、当初行う予定であった高校教員向けの理科実験道具の研修であるが、先生方が理科の実験道具を学校から持ち出すことにとても抵抗がある(破損のため)こと、SEDIPの実験道具がある学校とない学校があることから、これも新年度にカウンターパートと研修会を行うことになった。
 


 最後に、この研修会を通して、支援をしてくださりましたJICA Philippineの皆様、お忙しい中ご協力いただきましたSAMURAI6より田口さん、瀧本さん、松永さんに改めてこの場を借りて感謝申し上げます。数々の不手際でご迷惑をおかけしてしまい、大変申し訳ありませんでした。今回のことを今後の活動で生かしていけるように尽力いたします。ありがとうございました。今後ともよろしくお願いいたします。

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